3いじめの防止等に関する措置
(1)未然防止
生徒の豊かな心を育成し、心の通う対人交流の能力の素地を養うことがいじめの防止に
資することから、道徳教育や体験活動等をはじめとして、以下のような全ての教育活動を
通して社会性を育む。
ア 授業、学級活動やホームルーム活動
授業、学級活動やホームルーム活動においては、生徒が自らの行動を自分で選択し、相
手との関わりの中で行動する活動を通して、自己指導能力(そのとき、その場で、どのよ
うな行動が適切か、自分で考えて、決めて、実行する能力)を高め、いじめに向かわない
態度、能力を育成する。
また、自他の意見の相違があっても、互いを認め合いながら建設的に調整し、解決して
いける力や、自分の言動が相手や周りにどのような影響を与えるかを判断して行動できる
力など、生徒が円滑に他者とコミュニケーションを図る能力を育てる。
(ア)授業においては、言語活動を定期的に、かつ効果的に取り入れ、生徒同士のコミュニ
ケーション活動を通して、生徒の自己有用感(他者との関係の中で、「自分は役に立っ
ている」など、自分の存在を価値あるものと受け止められる感覚)や共感的理解(その
人そのものを理解すること)の能力を培い、自己指導能力を高める。
(イ)ホームルームでの話合い活動や体験活動等を、生徒が主体的に取り組めるように工夫
することによって、生徒同士の絆を深め、かつ社会性を育む。
また、生徒が協力して行う活動を工夫することによって、いじめの起こりにくいホー
ムルームの環境をつくりだす。
(ウ)障害への理解を深めるための指導や相互に互いの違いを認め合うことができるホーム
ルーム経営を行うことによって、ホームルームを生徒が安心して何でも話し合える居場
所にする。
イ 生徒会活動、学校行事、部活動
いじめに向かわない生徒を育成するため、生徒会活動、学校行事及び部活動の中で、
全ての生徒が主体的に活躍できる場面や役割を設定し、生徒が他の生徒から認められる
体験をもつことによって、自己有用感(自分は認められている、自分は大切にされてい
るといった思い)を高める。
また、体験活動やボランティア活動等を通して、他人の気持ちを共感的に理解できる
豊かな情操を培い、自分の存在と他人の存在を等しく認め、お互いの人格を尊重できる
態度を養う。
(ア)体験活動を伴う行事を年間計画に位置付け、その中で生徒が他者のための奉仕活動等
や、異年齢の児童や生徒と関わる経験を積むことにより、自己有用感を高める。
(イ)学校行事等を生徒が自ら考え取り組めるように工夫し、生徒会活動や委員会活動を活
性化し、公平公正の判断や自分と違う意見をもつ友達を認めて活動を共にすることなど
を通して、いじめに向かわない人格づくりをする。
(ウ)部活動において、目標に向け努力を継続することや仲間と協力することの大切さを
経験することなどを通して、忍耐力や達成感を養い、いじめに向かわない人格づくりを
する。
ウ 教育相談と個別面談
いじめの問題が深刻になる前に、いじめを認知し適切な対応がとれるよう、日頃から
生徒と接する機会を多くもち、生徒が教職員と相談しやすい関係を構築する。
また、定期的に行う生徒との個別面談のときにも、自分自身だけでなく、他の生徒が
いじめの被害を受けていないか等を確認する。さらに、必要に応じて、スクールカウン
セラー等を活用し、教育相談体制を整える。
(ア)日頃から担任や授業担当者が、生徒と気軽に話せる関係を構築する。
(イ)定期的に行う個別面談の際に、いじめの被害を受けていないかどうか確認する。
(ウ)いじめと断定できない場合でも、気がかりなことがあれば生徒の訴えを傾聴する。
(エ)教職員間で情報を共有し、複数の教職員で観察・支援等を行う。
(オ)必要に応じて、別室で個別に話を聞く時間を設ける。
エ 教育活動全体を通して
いじめはどの生徒にも起こりうるという視点で、全ての教育活動を通して、生徒の観
察等をすることで、生徒の変化を敏感に察知し、いじめを受けているという兆候(例
以下の(ア)~(オ)等)を見逃さないよう努める。特に、ささいな兆候であっても
いじめではないかと疑われる場合、当該生徒へ個別に声がけや相談等早い段階から関わ
りをもち、的確に状況の把握をする。
(ア)遅刻・早退が多い。また、休みがちである。
(イ)朝のショートホームルーム等で、いつもより元気がない。
(ウ)授業中の言語活動等の話し合い活動で、他の生徒とあまり話さない。
(エ)休み時間に教室にいられない。また、職員室や保健室に行く回数が多い。
(オ)親しかった友達との付き合いがなくなり、スマートフォン等に没頭する。
オ 生徒の主体的な活動
いじめの被害を受けている児童生徒が一人で抱え込むことなく、友人に悩みを打ち
明けことができるよう、仲間同士による支援活動であるピア・サポート等の互いに認
め合い支え合う主体的な活動を支援する。
カ インターネットを通じて行われるいじめ
インターネットを通じて行われるいじめは発見しにくいため、生徒から定期的に情報
を収集し、その把握に努める。
また、インターネット上で情報が拡散すると完全な消去が困難であることから、生徒
がインターネットの使用について自ら判断し適切に活用できるよう、発達段階に応じた
情報モラル教育を推進する。
(2)早期発見
教職員は、いじめはどの生徒にも、どの学校においても起こりうるという共通認識をも
ち、全ての教育活動を通じて、生徒の観察等をすることで、変化を敏感に察知し、いじめ
を受けているという兆候を見逃さないよう努力する。特に、ささいな兆候であってもいじ
めではないかと疑われる場合、早い段階から生徒へ個別に声がけや相談等の関わりをもち、
的確に状況の把握を行う。
ア アンケート調査
いじめに関するアンケート調査を年に1回以上行い、いじめの早期発見に努める。アン
ケートには、学校で起こったいじめのみでなく、学校外で起こったいじめもアンケートに
記入させる。また、自分や自分の身の回りで起きているいじめについても記入させる。そ
の際、いじめであると特定できなくても、疑わしい状況があれば記入するよう指導する。
イ 保護者との連携
学校での生徒の様子や学校の取組を、必要に応じて随時家庭に連絡するなど、日頃から
保護者との連携を密にすることによって、家庭で少しでも生徒の変化に気付いた場合、保
護者から学校へ気軽に相談してもらえる関係づくりに努める。また、保護者用のチェック
シート等を活用し、家庭と連携して生徒を見守り、健やかな成長を支援していく。
ウ 相談窓口の周知
いじめの相談については、保健室や相談室の利用とともに、電話やメーによる相談窓口
など、複数の相談窓口を生徒や保護者へ周知する。
(3)早期解消
いじめの連絡や相談を受けた場合、速やかに被害者の安全を確保するとともに、「いじ
めの防止対策会議」の「臨時会」を開き、校長のリーダーシップの下、当該いじめに対し
て組織的に対応する。
ア 被害者の保護
いじめの行為を確認した場合、いじめられている生徒を守り通すことを第一とし、全職
員が協力して被害者の心のケアに努める。
また、被害者の保護者へ速やかに連絡を取り、状況の説明を行うとともに、家庭での心
のケアや見守りを依頼する等、協力して対応する。
イ 実態の把握
被害者、加害者及び周辺の生徒から十分に話を聴き、いじめの事実を確認する。また、
アンケート調査等を実施し、速やかに実態の把握を行う。
学校だけでは解決が困難な場合、事案に応じた専門機関等と連携し、解消に向けた対応
を図るとともに、把握した事実を県教育委員会に報告する。
ウ 加害者への対応
加害者に対しては、いじめをやめさせ、毅然とした姿勢で指導をする一方、しっかりと
寄り添い、社会性の向上等、生徒の人格の成長に主眼を置いた指導を行い、いじめを繰り
返さないよう支援する。
また、加害者の保護者へ速やかに連絡を取り、状況の説明を行うとともに、被害者やそ
の保護者への対応に関して必要な助言を行う等、協力して対応する。
エ インターネットを通じて行われるいじめへの対応
生徒がインターネット上に不適切な書き込み等を行った場合、被害の拡大を避けるため、
削除させる等の指導を行い、削除ができない場合にはプロバイダに削除を求めるなどの
措置を速やかに講じる。
インターネット上に生徒を中傷する書き込みがされた場合、掲示板等のURLを控える
とともに、書き込みのある部分をプリントアウトする等して内容を保全し、それを基に書
き込みの削除依頼を掲示板等の管理者宛に行う。管理者が削除依頼に応じない場合、掲示
板サービスの提供会社であるプロバイダに削除依頼を行う。
こうした措置をとるに当たり、必要に応じて法務局等の協力を求める。
オ 重大事態の調査と報告(詳細は6)
いじめを背景とした重大事態について、いつ、誰から行われ、どのような態様であった
か、いじめを生んだ背景事情や生徒の人間関係にどのような問題があったか、学校・教職
員がどのように対応したかなどの事実関係を、詳細かつ速やかに調査する。
その調査結果については、県教育委員会を通じて知事へ報告する。知事が再調査を行う
必要があると認めた場合、学校は再調査を行う組織に積極的に資料を提供するとともに、
その再調査の結果や助言を重んじ、主体的に再発防止に取り組む。